巻頭言

2018.03.01
巻頭言

2018/3/1 ベスト3月号 巻頭言を掲載しました

魅力ある職場にするために
~一人ひとりが主役~

株式会社日本公法 代表取締役社長
麗澤大学名誉教授
元中国管区警察局長
元警察庁教養課長
元警察大学校教官教養部専門講師
大貫 啓行

警視庁では、28 年度最終合格者の3 人に1人ほどの辞退者が出たということの意味が注目を浴びている。中途で辞められることより、最初から辞退者が出るということ自体は、さほど気にすべき問題ではないとの意見もある。しかし、その多くが、他府県警合格が理由ということで、警視庁にとっては、考えるべきことは少なくない。後輩から見た首都東京勤務の魅力が低下しているということだから。

後輩の心に響く警視庁の魅力を、どうしたらより伝えられるか。皆さん一人ひとりに何ができるのか。ちょっと考えてみたい。
警視庁は、首都警察として国家の中枢を支えているということを誇りとしてきた。東京が日本全体を支えている、という何事にも代えがたい誇りを感じてきた。首都警視庁はその誇りに見合う様々な魅力に満ちている。仕事についても、その影響力の大きさがどことも比べようがないことは疑いがない。

問題はその自信が空回りしていないかということだ。後輩の立場に立って、皆さんのできることを考えていただきたい。
その魅力を後輩に伝えるのは、一人ひとりの警視庁警察官の有り様ということだ。ズバリ皆さんが持っている誇りそのもの。皆さんの胸を張った日々の在り方が後輩への最大の影響力なのだから・・・。

以前に比べて、地方出身者のそれぞれの出身地とのつながりが希薄になっていないか。足を運ぶ頻度、出身高校の先生や後輩などとの接点が減っていないか。人間のつながりの強さは行き会う頻度と比例することが多い。意識的に人とつながるように心掛けたいものだ。同窓会や帰省も億おっ劫くうがらずに足を運んでみようではないか。人間関係を大切にすることは様々な意味で人生を豊かにしてくれる。実際に会って話をしてみることの積み重ねは大切だ。その積み重ねが皆さんの財産になる。
東京での生活の利便性、警視庁の福利厚生が行き届いていることなどを皆さん自身が直接話すことが、後輩の安心感を深める。冠婚葬祭など、親戚との様々な接点にも前向きに出るべきだ。そこでの何気ない話が、周辺に伝わるというものだ。冠婚葬祭、特に葬祭での気遣いは心にしみるもの。そうした生きた心掛けは貴重だ。億劫がらずに足を運びたい。

東京の最大の魅力は仕事のやりがいだ。2020 年オリンピック・パラリンピックにせよ、警衛警護等も東京なれば日常的というものだ。国会や中央省庁、主要会社の本社なども言うまでもなく東京なればこそ。

皆さんの口を通して、後輩に重みを再確認してもらいたい。

警視庁辞退者防止ということは、言い換えれば警視庁警察官一人ひとりの、日頃の心掛けの集大成という側面が強い。そういう視点での留意事項としたいものだ。出身高校の後輩合格者には、先輩として電話や手紙を書いてもらいたい。後輩に親身になって相談に乗りたいと伝えるのだ。同郷であれば立派な縁というもの。可能な限り多くの後輩に声をかけたい。警視庁を志願する後輩には、親身になってお世話をしたいものだ。日常の仕事の中でもそうした心掛けでありたい。

要するに、皆さん自身が最大の広報ということだ。明日の警視庁担い手の確保に頑張ろうではないか。

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