巻頭言

2026.01.01
巻頭言

ベスト2026年1月号 巻頭言を掲載しました

新たな年を迎えるに当たって
~2026年の展望~

株式会社日本公法 代表取締役社長
麗澤大学名誉教授
元中国管区警察局長
元警察庁教養課長
元警察大学校教官教養部専門講師
大貫 啓行

 あけましておめでとうございます。
 新春を迎え、全国で治安維持に尽力されている警察官の皆様に、心からの敬意と感謝を申し上げます。
 昼夜を問わず、地域の安全と安心のために最前線で働かれる皆様の姿勢こそ、国民にとって最大の支えであり、社会の礎であります。

 世界情勢に目を向けますと、ウクライナやガザをはじめ、世界各地でなお平和の兆しが見えぬ厳しい現実が続いております。国際社会の不安定化は、エネルギーや経済のみならず、情報空間や人々の心理にも波及し、我が国の治安環境にも少なからぬ影響を及ぼしています。これまでの常識や制度では対応しきれない、新たな形の「不安」が社会に広がっていると感じるのです。

 こうした時代だからこそ、警察官の皆様には、「見えない治安」を守るという意識を一層強く持っていただきたいと思います。
 事件や事故を未然に防ぐ努力はもちろんのこと、人々の心の不安や孤立をどう受け止めるかも、これからの治安の大きな課題です。
 安心とは、数字や統計だけでは測れない、人と人との信頼の積み重ねの中にこそ生まれるものです。

 私たちは、今の時代にあって、「軸を持つ」ことの大切さを再確認しなければなりません。情報が溢れ、価値観が揺れる社会の中で、正義と責任を貫く心を保ち続けること。それが、国民の信頼を守る根幹であり、警察官一人ひとりの誇りでもあります。昇任試験を目指して学ばれている皆様におかれましても、知識の習得とともに、誠実さや共感といった「人間力」を磨くことを忘れずに歩んでいただければと思います。

 本誌を発行する株式会社日本公法は、創刊以来、警察官の使命感と専門性の向上を支えることを目的に歩んでまいりました。
 本年も社員一同、皆様の学びと挑戦を全力で支援し、地域社会の信頼をより確かなものとすべく努力してまいります。警察の未来を支える皆様の志が実を結び、それぞれの職務の中で新たな成長を遂げられることを心より願っております。

 なお、本年の展望として、治安の立場から特に注目すべき課題を、以下に挙げておきたいと思います。
① 国際情勢の不安定化と国内治安への波及 ― 戦争・テロ・経済変動など、外部要因が国内の安心感に及ぼす影響
② 心理的治安の確保 ― 孤立・不信・情報の分断など、人の心に生じる不安への対応力の向上
③ 地域社会の信頼再構築 ― 人口減少社会における警察・自治体・住民の新しい協働の形
④ デジタル化と新犯罪への先取り対応 ― AI関連犯罪やサイバー犯罪の脅威に対する柔軟な知識と技術の強化
⑤ 警察官の人間力の育成 ― 共感力・判断力・誠実さを兼ね備えた次世代リーダーの育成

 これらの課題は、いずれも社会の根幹である治安の持続性に直結するテーマです。本誌はこれからも、現場の皆様に寄り添い、共に考え、共に歩む誌面づくりを続けてまいります。

 本年が、読者の皆様にとって実り多く、安全で誇りある一年となりますよう、心より祈念申し上げます。

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